院内調剤と院外調剤の比較(1)
(2006・4・1改正)
2006・4・24更新
医薬分業すると医療保険の負担が増えます。
(新点数で計算してあります。)


Q3.


とある月末にDさんがいつものことですが両手がかさかさして赤いぶつぶつが出来ました。
かゆみが強く我慢できないのでかかりつけのZ医院を受診しました。
診察の結果いつもの手湿疹の診断で次のような外用薬と内服薬の処方箋をもらいました。

その処方箋を持ってかかり付けのP調剤薬局へ行きました。
P調剤薬局で服薬情況を聞かれ、服用の指導後薬の説明を薬剤手帳に記載して投薬してもらいました。

Z医院の窓口負担とP調剤薬局の窓口負担の合計はいくらでしょうか。
その合計とZ医院で調剤投薬した場合とを比べてみて下さい。
保険全額・3割負担・2割負担・1割負担を算定して考えてみましょう。

処方箋:

ザルツクス軟膏 10g

パスタロンソフト 50g

ツムラ十味敗毒湯エキス顆粒 2.5g×3 食前 7日分

セルテクト錠 1T×2 食後 7日分

Dさんは6才以上でP調剤薬局の調剤基本料は42点として計算して下さい。
薬価は以下のとうりです。

ザルツクス軟膏 1g 27.60円
パスタロンソフト 1g 8.50円
ツムラ十味敗毒湯エキス顆粒 1g 17.40円
セルテクト錠 1T 72.80円


A3.
Dさんの窓口負担 保険全額 3割負担 2割負担 1割負担
Z医院が医薬分業をして院外調剤の場合(A) 7950円 2385円 1590円 795円
Z医院が医薬分業をせず院内調剤の場合(B) 6030円 1809円 1206円 603円
(A)−(B) 1920円 576円 384円 192円
(A)−(B)/B 31.8% 31.8% 31.8% 31.8%


この実例の窓口負担からみると医薬分業で院外調剤してもらうと保険全額の場合は1920円増3割負担の場合はその差は576円増、2割負担の場合はその差が384円増1割負担の場合は192円増です。
窓口負担は3割以上高く徴収されていることになります。

医薬分業すると何の手間もかからないこんな実例でもこれだけ保険の負担が多いのが現実です。
これ以上の手間がかかったりした場合はさらに負担が多くなります。

例えば院内の場合は軟膏を混ぜ合わせたり内服薬を混ぜ合わせたりして手間がかかっても点数が加算されません。

しかし調剤薬局では外用薬を混ぜ合わせると80点(800円)が加算され、内服薬の散剤や顆粒剤などを混ぜ合わせても45点(450円)が加算されます。その他に混ぜ合わせの算定に関しては専門家でないと理解しにくい複雑なルールがあります。

両者の場合は125点(1250円)の加算ですから保険の負担がさらに増えます。
この場合院内調剤の保険全額が6030円に対して院外調剤の保険全額は9200円です。
その差が3170円52.6%も高くなります

医療保険財政の破綻・医療保険の患者負担増の昨今この制度をさらに推進してよいのでしょうか。
他の業界では流通経路を簡素化し生産者と消費者を直結させる傾向にあります。

医療機関が医薬分業することは医療機関が消費者の患者さんからは一つ遠くなり流通経路に新しい問屋が増えることと同じです。
まさに他の業界の流通の簡素化とは正反対の展開です。

アメリカが分業しているから医薬分業がよいと考えるのはいかがなものでしょうか。
流通の簡素化を考えると院内調剤のほうがむしろ進んだシステムではないのかと素朴に感じます。
今こそ患者さんの立場から早急に考えなければならない大きなテーマだと思います。

結果を先に記載してしまいましたが実際の点数計算に興味のある方は以下を参考にして下さい。

保険点数と窓口負担の算定の内訳

Z医院が分業の場合の保険点数と窓口負担


初診料 270点

処方箋料 68点


Z医院保険点数 338点

医院窓口負担(保険全額) 3380円
医院窓口負担(1割負担)  338円
医院窓口負担(2割負担)  676円
医院窓口負担(3割負担) 1014円

P調剤薬局の保険点数と窓口負担


調剤基本料 42点

薬剤服用歴管理指導料(指導加算)
 22+22=44点

薬剤情報提供料 15点

薬剤料(外用薬)

処方1.
ザルツクス軟膏 10g 276円(28点

処方2.
パスタロンソフト 50g 425円(42点

外用薬調剤料(2調剤)       20点

薬剤料(内用薬)

処方3.
ツムラ十味敗毒湯 7.5g 130.50円(13点)
  13×7日分       91点

処方.4
セルテクト錠 2T   145.60円(15点)
  15×7日分=105点

内服薬調剤料(2剤)      70点

合計42+44+15+28+42+20+91+105+70=457点

調剤薬局保険点数 457点(4570円) 

薬局窓口負担(保険全額) 4570円

1割負担 4570×0.1=457円
2割負担 4570×0.2=914円
3割負担 4570×0.3=1371円

Z医院とP調剤薬局の窓口負担の合計


保険全額 
3380+4570=7950円
1割負担 338+457=795円
2割負担 676+914=1590円
3割負担 
1014+1371=2385円

医院が分業していない場合の保険点数と窓口負担


初診料 270点

処方料 42点

薬剤情報提供料 10点

薬剤料(外用薬)

処方1.
ザルツクス軟膏 10g 276円(28点

処方2.
パスタロンソフト 50g 425円(42点

外用薬調剤料 6点

薬剤料(内用薬)

処方3.
ツムラ十味敗毒湯 7.5g 128.25円(13点)
 13×7日分       91点

処方.4
セルテクト錠 2T   145.60円(15点)   
 
15×7日分=105点

内服薬調剤料 9点

合計 270+42+10+28+42+6+91+105+9=603点 

医院窓口負担(保険全額) 603点(6030円)

医院窓口負担
負担全額 6030円
1割負担 6030×0.1=603円
2割負担 6030×0.2=1206円
3割負担 6030×0.3=1809円
参考文献


薬効別薬価基準保健薬辞典 (平成18年4月版)薬業研究会編 じほう発行
診療報酬点数と早見表(平成18年4月改正) 医療保険業務研究協会発行


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