ごりんさん・いぼ神様
〜静岡市清水区中河内小川向田〜


2003清水郷土史研究会「清水市石造文化財調査報告書」の中に清水中河内小川向田にいぼ神様があることを見つけ、正月休みを利用して訪問しました。報告書の地図によると県道195号線の中河内川にかかる向田橋の南側の集落の東側にあることが分かったので、とりあえず向田橋の袂のJAの駐車場にマイカーを置かしてもらいました。たまたま立ち話をしている二人の女性をみつけ尋ねたところ、その一人がいぼ神様への登り口にある深沢さん宅の奥様でした。

早速いぼ神様のところに案内して頂きました。深沢さん宅の向かって右側の赤い印のある杭のある細い道を沢に沿って登ります。沢の名前は「どんどん沢」で雨の後などは水が増えて溢れるほどになるそうですが濁ることはないそうです。先ずこのどんどん沢の水をいぼ神様に供えるために小さな小瓶などに汲みとり、この水をいぼ神様に供えていぼとり祈願をして家に持ち帰ってイボにつけます。

深沢さん宅の向かって右側から登る 「どんどん沢」の水を小瓶に汲む
深沢さん宅の向かって右側から登る 「どんどん沢」の水を小瓶に汲む


小道は岩交じりで苔も生えていて滑りやすいので足の悪い方はころばない様にして下さい。ジグザグに上ったところに小さな広場がありいぼ神様のお堂があります。いぼ神様は「ごりんさん」の愛称でよばれているかわいい地蔵さんです。「清水市石造文化財調査報告書」によると高さが18cm、幅が13cm、奥行き7cmの小さな地蔵菩薩坐像です。地蔵さんを前から良く見ると五輪塔のように見えるので「ごりんさん」となったのでしょうか。

深沢さんに「ごりんさん」のお話を聞く 正面から見た可愛い「ごりんさん」
深沢さんに「ごりんさん」のお話を聞く 正面から見た可愛い「ごりんさん」


「ごりんさん」のお堂を作って管理している地主さんのお宅に案内して頂きお地蔵さんのいわれを取材しました。地主さんも深沢さんで、この集落は深沢姓が多いのです。お話によるとお地蔵さんはこの近くの山崩れの時に現れた地蔵さんで暫くは別のところにあったものだそうです。この部落から出た方が飼っていた乳牛の乳房部にイボイボが沢山発生してなかなか治らないので困り果てていた時にふと「ごりんさん」を思い出して祈ったところあっというまにイボイボがとれたそうです。

じっくり見ると五輪塔に見える 供えられた「どんどん沢」の水の小瓶
じっくり見ると五輪塔に見える 供えられた「どんどん沢」の水の小瓶


こんなエピソードから「ごりんさん」がいつのまにかいぼ神様として慕われるようになったそうです。牛のイボがとれたお話はユニークな興味深いお話でした。「ごりんさん」への地元以外からのいぼとり祈願の方は年間100人以上とのお話でした。一般にいぼ地蔵の呼び名が多いのですが会話の中には「ごりんさん」、「いぼ神様」だけで「いぼとり地蔵」はありませんでした。(2005年1月3日記)

ごりんさんへのアクセス→Google Map

JRとバスにて

新幹線JR静岡駅で東海道線上りに乗り換えJR清水駅下車、駅前から但沼車庫駅にのり、但沼車庫で板井沢行きに乗り換えて小川バス停で下車します。(但沼車庫から小川へのバスは1日7〜8本で少ない。)小川バス停の近くに「美容室」の看板が見えるのでその手前を東側に入ったところが「ごりんさん」への登り口の深沢さん宅です。深沢さん宅の向かって右側の沢沿いの細い道を登るとイボ神様はすぐです。

マイカーにて

東名高速清水ICを出て左折して、国道1号線を東京方面に5kmほど走り、興津ICで左折して国道52号腺を北進やはり5kmほどで但沼、但沼で左折して県道75号線を入って3kmほ興津川に沿って走り、清水清地で興津川支流の中河内川に沿って県道195号線を2kmほど北上すると小川向田の集落です。

参考文献


清水市石造文化財調査報告書(2003清水郷土史研究会) 静岡県清水市教育委員会発行 平成15年2月発行

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