弘法さまの二つのいぼ塚 
上のいぼ塚〜愛知県豊田市保見町
下のいぼ塚〜愛知県豊田市伊保町


愛知県豊田市の伊保町にあるといわれているいぼ神様のネット上の情報を確かめるために去る1月22日に豊田市郷土資料館にメールを出したところ、4日後の1月26日に資料館の民俗担当のK氏から伊保町と保見町の2つのいぼ神様についての資料が届きました。すぐ訪問取材したかったのですが、4月11日(日曜)にようやく訪れることが出来ました。昭和45年に下伊保が伊保町に、上伊保が保見町に変更されたそうで、伊保川・伊保橋・伊保小学校の名前は残っています。

下のいぼ塚は県道58号線の伊保町的場交差点から大清水町交差点方向へ300mほど南下した伊保川にかかる向山橋手前の東側道路脇にありました。昔はいぼ塚のまわりの泥を採っていぼに塗って祈ったとのことですが、昭和59年7月に伊保町有志一同により元の位置から移築されてきれいに整備されていています。

南側から見た下のいぼ塚、左の道の300m北に伊保町的場交差点がある。 下のいぼ塚の拡大
南側から見た下のいぼ塚
左の道路の300m北に
伊保町的場交差点があります。
下のいぼ塚の拡大


愛知環状鉄道の保見駅近くの県道58号線沿いの理容店で尋ねたら上のいぼ塚はすぐ見つかりました。上のいぼ塚は保見駅の近くの伊保小学校の東側の加納宅の敷地内にありました。上のいぼ塚の地主である加納様の奥様の話ではすぐ近くの田んぼから昭和63年に現在の位置に移動したとのことでした。上のいぼ塚は塚前の窪みの中から泥は採ることが可能で、今でもいぼとり祈願に訪れる方がいるそうです。

東側から見た上のいぼ塚、背景に見える建物は伊保小学校 上のいぼ塚の拡大
東側から見た上のいぼ塚
背景に見える建物は伊保小学校
上のいぼ塚の拡大
いぼ塚の前の窪みの泥を採っていぼとりを祈願します。 いぼ塚の地主の加納様の奥様にいぼ塚のことを尋ねました。
いぼ塚の前の窪みの泥を採って
いぼとりを祈願します。
いぼ塚の地主の加納様の奥様に
いぼ塚のことを尋ねました。


二つのいぼ塚ははるか昔からあるようで、いぼ塚にまつわる民話が残っています。送って頂いた資料の「とよた風土記」(豊田市区長会発行)によると弘法大師信仰によるものと言われています。「とよた風土記」のP58の「下伊保のいぼ塚」には次のようなお話が掲載されています。むかし、天長年間(824〜834)伊保の里に、全身いぼの出来ていた娘がいました。娘は醜い我が身を悲しんで、毎日昼間は外出もできずに暗い日々を送っていました。里の人々も皆哀れんでいました。ある秋の夕暮れ時に笠を深くかぶった身の丈よりも長い杖を持った墨染めの衣の一人の旅の僧が「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏」と重みのある念仏をとなえながら、娘の家の前で報謝を求めて立ちどまりました。娘は顔を手拭いでかくし、手は前掛けでかくし、皿に持ったお米を差し出すと、僧はありがたく受け取って首に掛けた袋にいれ皿を返しながら「娘さん、いぼで大変おこまりの様子、前にこられや」と言って、手を合わせておがむ娘の上半身を杖で静かに力をこめてさすりながら、「南無大師遍照金剛」と、何度も何度もとなえ、上半身の疣を一枚の紙に封じて「上のいぼ塚にお納めなさい。」と言いました。さらに杖で下半身をくまなくさすり「南無大師遍照金剛」と何度もとなえ、最後に一枚の紙に下半身の疣を封じ「下伊保のいぼ塚へおさめなさい」と言い残し娘が深く頭をさげてお礼を申しているうちに姿を消しました。旅の僧の言葉どうりに、上のいぼ塚と、下伊保のいぼ塚へ納めて、一心に念仏をとなえて祈っていたら、いつの間にか全身のいぼは取れて、もとのきれいな娘となり、幸せな日々の生涯送ったそうです。古老のお話では、その時の僧は弘法大師ではないかと言い伝えられています。(2004年5月2日記)

下のいぼ塚へのアクセス→Google Map

JRおよび電車にて


西からはJR新幹線名古屋駅下車、地下鉄東山線の伏見駅で地下鉄鶴舞線に乗り換え、赤池駅から名鉄豊田線に乗り換えて上豊田駅で下車。駅前から徒歩にて1kmほど北上して伊保川の向山橋を渡ると道路右側に下のいぼ塚があります。また東からはJR新幹線豊橋駅で下車、名鉄名古屋本線に乗り変え、知立駅で名鉄三河線に乗り換え、さらに豊田市駅で名鉄豊田線に乗り換えて上豊田駅で下車します。

マイカーにて

東名豊田インターを降りて、県道489号線に入り土橋町で左折して、国道155号線に入り、豊田市駅前を過ぎて栄町3で国道155号線と別れて北上し、上豊田駅前を通過して伊保川を渡れば下のいぼ塚はすぐです。

上のいぼ塚へのアクセスGoogle Map

JRおよび電車にて

JR新幹線三河安城駅でJR東海道線に乗り換えてJR岡崎駅で下車、愛知環状鉄道に乗り換えて保見駅で降りれば駅のすぐ近くの伊保小学校の東側に上のいぼ塚があります。

マイカーにて

東名豊田インターを降りて、県道489号線に入り土橋町で左折して、国道155号線に入り、浄水町伊保原南で右折して1.2kmほど北上して保見駅前で左折してふとんの加納の看板で右折してすぐの伊保小学校の右手に上のいぼ塚があります。また下のいぼ塚から北上して伊保町で左折すると1.7kmほどで保見駅前に着きます。

参考サイト


豊田市市役所ホームページ 豊田市のことを詳しく知りたい方は御覧下さい。

いぼ塚の昔話 豊田のむかし話です。

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