疣取り地蔵・柚の木地蔵
静岡県袋井市見取(見取公会堂の南)


日本石仏協会のSさんから袋井の三川地区見取(みどり)にある柚の木地蔵という疣取り地蔵の資料を頂きました。資料には「見取中のバス停から北へおよそ500mの道路から西へ少し入った田んぼのあぜ道に祀られている」と記載がありました。暇がとれたので静岡からマイカーで訪問しました。

袋井市自主運行バス「ふーちゃん号」のバス停 見取公会堂
袋井市自主運行バス「ふーちゃん号」のバス停 見取公会堂


疣取り地蔵は見取公会堂前の広場の南東隅に移転されて新しいお堂の中にに祀られていました。資料には「作られてから300年位たっているということで、表面にはこけが生え、刻まれた文字やお顔があまりはっきりしませんが、願い事をかけに来る人が多く、お花が絶えた事ががないということです。」とありましたが地蔵様はきれいに手入れされてお花も供えてありました。

見取公会堂前広場の南の隅に地蔵堂 正面から見た柚の木地蔵堂
見取公会堂前広場の南の隅に地蔵堂 正面から見た柚の木地蔵堂


見取公会堂前には袋井市自主運行バス「ふーちゃん号」のバス停がありました。1乗車が100円で小学生未満と障害者手帳・療育手帳持参者が無料とのことです。丁度公会堂の近くにいた地元の中年の女性の方にいぼとりの祈り方を尋ねましたが、特におまじない的な祈り方はなくただいぼとり祈願をするだけでよいとのことでした。この疣とり地蔵さんにはこんな話が伝えられています。

柚の木地蔵(いぼとり地蔵) きれいなお花が奉納されていました
柚の木地蔵(いぼとり地蔵) きれいなお花が奉納されていました


〜昔この見取村に藤左衛門(とうざえもん)という庄屋があって、りゅうという9才になる美しい娘がありました。この娘にどうしたことか、急にいぼが体中に出来て見苦しくなり、「お母さん困ったわ、困ったわ、どうしよう」といいだしました。お母さんは「ああこれは大変、柚の木地蔵様に御願いしてみましょう」と母親は、すぐ女の子を連れて、近くの柚の木地蔵様にお参りして、「どうぞ、子供のいぼを取って下さいますように」とお祈りしました。すると母親のそばで、後からついて来た妹のしんが両手を合わせて、「お姉さんのいぼをなおして下さるなら、私は、いぼが出来てもかまいません」といって拝みました。これを聞いた母親はびっくりして、「だめよ、だめよ、そんあことを言うものではありません。本当にいぼが出来たらどうします」と叱りました。柚の木地蔵様にお参りして、3日程すると姉のりゅうのいぼはすっかり消えてなくなりましたが、反対に妹のしんには体中いぼが出来てしまいました。「まあ、まあ、これは困った事になったね」と母親は、妹のしんを連れて、もい一度柚の木地蔵様にお参りして。「お地蔵様、姉のりゅうのいぼをきれいになおして下さって有難うございます。ですが、あの時、妹のしんが言ったことは嘘でございますから、どうぞお許し下さって、妹のいぼもなおして下さいませ」と一生懸命に拝みました。するとこの柚の木地蔵様は「よし、よし、よくわかった」とこれもすぐ聞いてくださって、妹のいぼも、程なく取れてしまったという事です。〜こんなことから、土地の人はいつの間にか、柚の木地蔵のことを疣取り地蔵と呼ぶようになりました。柚の木地蔵はまた熱病にも効くと伝えられています。(2006年12月25日記)                                                   (写真は2006年12月10日撮影)

柚の木地蔵へのアクセスGoogle Map

JRにて

西からは新幹線JR浜松駅で、東からはJR掛川駅で、ともに東海道線に乗り換えてJR袋井駅下車、駅前からはタクシーにて見取公会堂まで乗車します。

マイカーにて

東名高速道路袋井ICで出て左折して県道61号(浜北袋井線)を4.5kmほど北上し、大谷の交差点から150mほど手前で鋭角に左折し、バス路線を800mほど南下すると見取公会堂に着きます。

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