井上靖文学館

ルビとアクセントについて考える(井上靖文学館にて)

6月3日(金)

静岡県点字図書館の音訳に関係ある人たち15名でクレマチスの丘へ出かけました。
クレマチスの丘は静岡県長泉町(ながいずみちょう)東野(ひがしの)にあります。

富士山麓の豊かな自然の中、花と芸術が溢れる素敵なところ。→こちら
現在は200種あるクレマチスが満開!薔薇も美しい。

ルビ

企画力のある仲間のお陰で「井上靖文学館」にてルビについての話し合いをすることができました。

◇井上靖文学館館長である松本亮三(まつもとりょうぞう)氏が5月12日の静岡新聞夕刊「窓辺」に-ルビの勧め-を書いておられ、それを見た友人が連絡をとってくれたようです。
————-以下静岡新聞5/12夕刊「窓辺」より
ルビの勧め
 ルビとは、漢字の横に付いている振り仮名の小さな活字のことです。
 恋に奥手という人がいるようです。恋はさておき、「本に奥手」の児童がいます。ルビはそのような子どもにとって役に立つでしょう。わたしはルビというものをもっと広めてはどうか、と思っています。今回はそんなルビの勧めのお話です。

 さて、本を読むことに興味のない子どもがいました。しかし、小学校高学年になって漢字を覚えるにつれて本を読むことが好きになっていったそうです。その子は思いました。漢字の読み方が分かれば、ルビが付いていれば、もっとたくさんの本が読めた、と。漢字の多い本もルビが付いていれば読み進めることができるでしょう。

 漢詩、仏典、講談本、古典であってもルビさえ付いていれば、子どもから大人まで読めます。たとえ意味が分からなくても暗唱することができるでしょう。子どもの頃に覚えたルビつきの漢詩の音韻や字源が、後に教養や思想になったとのお話を伺ったことがあります。

 「文章は一刀三拝の精神で書くべし」。ルビを嫌う作家がいるでしょうが、仏師が一刀三拝の精神で仏像を刻むのと同じような心で文字を選んだのだから、その作品は読んでもらわなければ何もなりません。 漢字をまだあまり覚えていない子どもや海外で育った子どもだけでなく、特に漢字になじみにくい多くの外国人にとって、ルビは大切に思います。日本の文化や日本語を学ぶのにも役立つに違いありません。

 今でも「本に奥手」の少年少女はたくさんいるでしょう。そんな子どもたちへ、ルビはほかの何物にも替えることのできない大切な贈り物でしょう。(井上靖文学館館長)

————-以上静岡新聞5/12夕刊「窓辺」より

◇館長さんのお陰で井上靖氏の次女・黒田佳子(くろだよしこ)氏が横浜から来て下さり、子どもの頃ルビがたくさん付いた本を読んで、本の世界が身近になったお話をされました。井上靖氏も文章を書くときには難しい表現やルビに気をつけておられたそうです。晩年は多忙で仏教の話など少し難しくなったようですが。
黒田さんは母上が京都の方でお話の様子が優しく、言葉は大切とあらためて思います。

◇湯ヶ島小学校の杉山校長先生もあすなろ調べ学習でいらしており、館長さんの質問に今の子供達の名前は読むのが大変と言っておられました。
昔はそれぞれの家に伝わった漢字を組み入れることが多かったけれど、今は親が一生懸命に考えて名前をつける。
読みにくい漢字にはルビが役立つでしょう・・・と館長さんが言っておられました。

アクセント

井上靖の作品は「しろばんば」、「あすなろ物語」など天城湯ヶ島の自然と人間の営みが描かれています。
館長さん、校長先生、文学館におられた地元の方々は
「しろばんば」「湯ヶ島」は「し」「ゆ」にアクセントを置くのが正しいとのこと。
参考ページ→こちら こちらも

音訳でも地元のアクセントにして欲しいと館長さんはおっしゃいます。
—このような例は多いのでしょうね。
標準と思っているアクセントで読むと地元の人が聞いて間違っていると感じる・・・
でも音訳は全国のユーザーを対称にしていますから標準と思われているアクセントで読まなくてはならない。

NHK静岡放送局の比留間 亮司(ひるま たかし)アナウンサーがおいでになっており、その辺は難しいとおっしゃっていました。

私達は読みやアクセントにNHKの放送や書籍に頼ることが多いと思います。
NHKでも言葉の読みは変化していくと言っていますし、アクセントとなると全国的に通用する読み方をするのでしょうね。

話に夢中になって「井上靖文学館」を後にし、ゆっくり館内を見学できませんでした。
静岡市からは近いのでまた近日中に来たいと思います。
井上靖の書籍も読み返してみたい。

ベルナール・ビュフェ美術館、ヴァンジ彫刻庭園美術館も案内していただき、クレマチスガーデンで満開のクレマチス、薔薇を楽しみ、梅雨の晴れ間の素敵な一日を過ごしました。

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私は5月17日にも「クレマチスの丘」を訪れています。
エリアが二つあり
ビュフェ・エリアはベルナール・ビュフェ美術館、井上靖文学館。
クレマチスガーデン・エリアはクレマチスガーデン、ヴァンジ彫刻庭園美術館、IZU PHOTO MUSEUM。
レストランもいくつかあります。

先日来た時の写真

クレマチス、200種のなかの一つ ヴァンジ彫刻の一つ
200種あるクレマチスの一つ      ヴァンジ彫刻の一つ 

二つのエリアを結ぶ道には吊り橋があります。
二つのエリアを結ぶ途中にある吊り橋

6月3日の今日はクレマチスも満開、まだ蕾もたくさんあります。
春の薔薇は今が見ごろでしょう。

両エリアは広く、散策にも最適。
住宅街を歩くと富士山が大きく美しいのでぜひお出かけ下さい。
交通も車で東名沼津インターから近いですし、列車でJR三島駅からシャトルバスが連れて行ってくれます。

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