「音訳」ってなあに?

〜「音訳の部屋」ができるまで〜

2000年熟年メッセージに寄稿したページを記載しました。
「音訳」ってなあに? なぜ「音訳の部屋」を作ったの? と質問された時、「このページを読んで下さい」と答えています。

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 「音訳」ってなあに?

「音訳」という言葉、知っていますか。点字なら知っているけど 「音訳」・・・? 「音訳」とは「視覚障害者のために、文字を音声に訳すこと」をいい、録音図書を製作すること全体を含めて「音訳」と言っています。

最近は交通事故や生活習慣病などが原因の中途失明者が多くなりました。中年を過ぎてからの失明では点字を覚えるのが難しいようで、録音図書の利用がとても伸びています。

録音図書は現在はカセットテープですが、最近「デイジー」というパソコンによる録音編集システムができ、ここ2、3年急速にCD化が進み始めています。利用者にとっては、必要な個所をすぐ捜すことができ、またコンパクトなCDはとても使い勝手が良いようです。

私が音訳を始めたのは今から15年前、義父が網膜剥離になった時からです。幸い義父は視力を失わずにすみましたが、私に音訳ボランティアという贈り物を残してくれました。

 「音訳の部屋」

「音訳」ボランティアの一歩は厳しい講習から始まりました。発音、アクセント、漢字・固有名詞・漢語・古語等の読み方、表・写真・図表の読み方・・・それに加えて録音技術等多岐にわたります。

講習が終わり「音訳」を始めると原本の調査が必要です。文学、古典、化学、医学・・・新しい原本に合わせて調査は繰り返されます。

私は科学関係の本を音訳する機会が多く、夫所蔵の参考書等が役に立ちました。自宅での調査はほんの一部で点字図書館の資料室、県や市の図書館、専門家や出版社への問合せ等、調査は続きます。仲間と「苦労して調べた資料を共有できたらいいわね。」といつも話し合っていました。

そこに登場したのがインターネット。仕事の経理のために導入したパソコンですが、良き先生にも恵まれキーを打つことから練習して「音訳の部屋」の制作を始めたのが三年前。今では読み方辞典も20種類を超え、全国の音訳・点訳の方に使って頂いています。「昔の職業読み方辞典」なんて楽しいのもありますよ!

 静岡県点字図書館コーナー

駿府公園の隣、静岡県総合社会福祉会館の二階に静岡県点字図書館があります。司書、指導員の方々を中心に音訳関係では登録者数110人のボランティアが活動しています。
 
録音、校正、ダビング、装備など様々な仕事に加え、最近のCD化によってパソコンによるデイジー編集作業も加わり、かなり複雑になってきました。
 
「音訳の部屋」では点字図書館の案内、音訳指導員発行の「音訳通信」なども紹介しています。音訳通信には皆で勉強した読みの工夫・配慮なども掲載してあります。静岡県点字図書館は全国でも利用者数のとても多い図書館です。

 ふじの国から 「富士山読み方辞典」

先日、県外の方から「静岡県に住んでいるので知っているかしら?」と富士山頂に関する読み方を聞かれました。「浅間ヶ岳」・・・? インターネットでの検索、図書館に通っての参考図書調べ、静岡県立中央図書館へのレファレンス・・・やっと分かりました。
 
富士山の資料は「ふじの国」である静岡県には多くありますが、他県では調べにくいでしょうね。「浅間ヶ岳」の調査から出来上がった辞書が「富士山読み方辞典」です。言葉での登山はどうでしょうか。

 佐智子さんという友を得て。

多くの方に「音訳の部屋」を使ってもらうには、使いやすく、間違いのない辞書が必要です。私には佐智子さんという良き音訳仲間がいて、資料調べや言葉の使い方など協力してくれます。

ひとりで制作していては偏った辞書になりますが、羅針盤の友人に「ありがとう」と素直に言えることを幸せに思います。佐智子さんこれからもよろしくね!

 夫もまきこんで!そして感謝。

「音訳の部屋」を懸命に作っていたら、見ていた夫が「医学関係なら私も手伝うよ。」と新しく 「ツボ・経穴の読み方辞典」「漢方処方の読み方辞典」 など、音訳に欠かせない辞書を作ってくれました。

今では「山の読み方」も加わり夫が作った辞書は七つになります。特に「ツボ・経穴」に関しては参考資料も手に入りにくいので音訳以外にも全国の方が使って下さっています。

佐智子さんの夫も、CD録音図書製作のための入門編 「DAISYに挑戦」 のホームページを制作、また静岡県点字図書館の音訳関係のパソコン管理に協力しています。

お互いに夫の協力に感謝。ありがとう!

 私のライフワーク

パソコンの練習から始まったホームページ制作。音訳と共に「音訳の部屋」の制作は、今では私の生活の一部になっています。図書館など公共施設の有難さも身にしみ、これからも「音訳の部屋」の制作をライフワークにしていきたいと願っています。 (2000年 夏 平松陽子 記)

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