NHK アナウンスルーム「放送用語の変更④~あり〝得る〟~」
2014年8月7日
ーー以下8月5日まえがきと同じ
音訳仲間から「分泌」は「ぶんぴつ?」「ぶんぴ?」とのメールが来ました。 そう・・・いつも悩ましい読み方。
辞書では広辞苑、日本国語大辞典、大辞林など①に「ぶんぴつ」②に「ぶんぴ」
ところが私たち音訳・点訳で頼りにしている、NHKことばのハンドブック第2版(第2刷)P180には①に「ブンピ」②に「ブンピツ」 いつも悩んでいる言葉に、WEBを探していると、NHKのページに行きつきました。
※実際に読む時には所属の指示に従ってください。
トクする日本語 - NHK アナウンスルーム→こちら
この中から放送用語の変更①~④を見つけました。これを見つけてたどり着くのは大変ですので、ここに順に転載させていただきます。放送用語の変更③で「分泌」を取り上げます。
ーー以上8月5日まえがきと同じ
放送用語の変更④~あり〝得る〟~
ーーーーー以下 2014年4月23日(水)より転載→こちら
この4月に変更されたNHK放送用語から取り上げます。
まずは『あり得る』。NHKではこれまで〔ありうる〕しか認めていませんでした。
しかし平成10年に放送文化研究所で「あり得る」の読みを調査したところ、50歳以下は〔ありえる〕の方が多く、今ではさらにこの傾向が進んでいると見られます。このためNHKでは〔ありうる〕を優先とし、〔ありえる〕も認めることになりました。
ではなぜ、〔ありえる〕が増えたのでしょう。若い人は「ありえない」という否定形の方をよく使うと思いますが、「ありうる」も「ありえる」も否定形は同じ「ありえない」なのです。ですから肯定形も「ありえる」に統一されていくのは自然な傾向と考えられます。
逆に、若い人の間で、古めかしい読み方が増えている例もあります。例えば『奥義』です。
平成23年に「〝奥義〟をきわめる」の読み方を調査したところ、20~30代に〔おうぎ〕が多く、60歳以上に〔おくぎ〕と読むことが多いという結果が出ました。
『奥義』は古くから両方の読み方がありましたが、漢字の読みとしては〔おう〕の方が古い音です。ただ、単独では〔おく〕としか読まなくなっていますし、江戸時代の読本や歌舞伎でも〔おくぎ〕という読み方が使われていて、年配の人ほど〔おくぎ〕という読み方になじみがあるようです。
ところが最近は、ゲームなどの中で「技」の名前にふりがな付きで使われている場合が多いことが分かりました。実際の生活では使わないことばなので、ゲームで読み方を覚えた人が増えているようです。このためNHKではこれまで優先順位をつけていなかったのですが、『奥義』の読みは〔おうぎ〕を優先し、2番目に〔おくぎ〕とすることにしました。
ーーーーー以上 2014年4月23日(水)より転載
NHKでは社会のことばの変化に応じて、放送に使うことばを放送用語委員会で検討しています。言葉の読みにも変化はあることを常に心にとめてアンテナを高くしていきたいですね。
※実際に読む時には所属の指示に従ってください。
<参考>
放送用語委員会(東京)「ことばの読みについて」ーー第1370回放送用語委員会(東京)
~『NHK 日本語発音アクセント辞典』改訂にあたって→こちら(PDF)
放送用語委員会(東京)「ことばの読み・語形のゆれについて」ーー第1376回放送用語委員会(東京)
~『NHK 日本語発音アクセント辞典』改訂にあたって(意見交換)→こちら(PDF)